人間関係のタイプと解決へのアプローチ
相互依存と共依存
今回は、人間関係でよく話題に上がる「相互依存」と「共依存」について、前編と後編に分けてその違いやそれぞれが持つ影響を掘り下げてみましょう。
親子、夫婦、恋人同士、友人関係など、多くの人間関係において理想的な形は「相互依存」です。相互依存とは、信頼関係を深めると同時に、個々の成長を促すため、双方にとって健全で長続きする関係を築くことができる上に、互いに自立した存在でありながら協力し合い、相乗効果を生み出す関係です。お互いが自分の役割を果たし、それぞれの強みを活かすことで、生活や仕事の質が向上します。
一例として友人との関係を考えてみましょう。あなたが料理を作るのが得意で、友人がイベントの企画が得意だとします。週末に一緒に集まるとき、あなたがみんなのためにおいしい食事を用意し、友人が面白いイベントを計画することで、集まりがより楽しくなります。これが相互依存の一例であり、互いの得意分野を活かすことで、より充実した時間を過ごせます。
家庭での役割分担も同様で、あなたが食材の買い出しを担当し、パートナーが料理を担当することで、家事の負担を分け合い、互いにサポートしながら日常生活を円滑に進められます。職場でも同様に、プロジェクトであなたが企画を担当し、同僚がデザインを担当することで、それぞれの専門分野を活かして良い成果を上げることができます。
これに対して「共依存」は、相互依存と似ているように見えても、実際には根本的に異なります。相互依存ではお互いが自立した存在として協力しますが、共依存では一方または双方が相手に過度に依存し、個々の自立性が失われてしまう点が大きな違いです。この違いは非常に重要で、相互依存が健全で安定した関係を築くのに対し、共依存は関係性を歪めてしまう可能性が高いです。
共依存の状態では、しばしば相手への過度な期待や自分の価値の喪失が関係を支配します。例えば、自分に自信がなく、相手の承認を必要とすることで相手に依存してしまうケースがあります。また、過去のトラウマや孤独感から抜け出したい思いが強く、相手のために自分を犠牲にし続けるといった行動も共依存の一因です。
夫婦関係においても、「相手に合わせすぎて自分の意見を持てない」「相手の好みを全て自分の好みにしてしまう」といった形で、次第に自分を見失ってしまうことがあります。例えば、趣味や友人関係までも相手に合わせてしまい、自分の時間が無くなってしまうことが考えられます。このような状況が続くと、知らないうちに不満が蓄積し、問題が発生した際にはその解決が非常に難しくなります。その結果、関係が負のスパイラルに陥ることが多いのです。
【小さな実践】
自分と誰かとの関係を振り返り、「自分は相手にどのくらい依存しているか」を考えてみましょう。例えば、「相手の意見にどれだけ左右されているか」や「相手の承認がないと不安を感じるか」などの具体的な質問をしてみてください。また、関係の中でお互いが果たしている役割をリストにしてバランスをチェックすることで、健全な相互依存を意識することができます。
次回は、問題の捉え方や解決方法において、どのように「ジグソーパズル型」と「ルービックキューブ型」のアプローチを使い分けるかについて深掘りしていきます。それぞれの問題に適した具体的なコミュニケーションスキルや、日常で役立つ実践的な関係構築の方法について詳しくご紹介しますので、どうぞお楽しみに。
投稿者プロフィール
-
武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
マイベストプロ
https://mbp-japan.com/kyoto/hirokobashi/
最新の投稿
- SLC協会のこと2024年11月18日Self&Lifeコンディショニング入門講座
- 心ホッとコミュ2024年11月17日3.居場所がないと感じるとき
- ダイアリー2024年11月10日コラム目次
- 心ホッとコミュ2024年11月10日2.居場所を感じる瞬間