居場所とは、ただ自分の存在が許されるだけの場所ではなく、家庭や職場、趣味のグループなど、安心して自分を表現できる空間です。誰しもがそのような居場所を求めますが、見つけた後も維持し続けることが必要です。居場所を作ることと同様に、育てることはさらに難しい課題です。それは、その場所の雰囲気や信頼関係を維持し、深めるために継続的な努力が求められるからです。私の経験を通して、居場所を育てるために必要な要素や心構えを考えてみたいと思います。
居場所は育てていくもの
私が初めて心地よい居場所を見つけたのは、小さなコミュニティでした。そこでは、互いの意見を尊重し合い、自由に話せる雰囲気が漂っていました。しかし、新しく加わったメンバーが強い口調で意見を述べたとき、一瞬場が緊張しました。誰もが戸惑い、空気が硬直した中で、私は「ここではみんなが意見を言えることが大切だよね」と声をかけました。その一言で場がほぐれ、再び話し合いが始まったのです。居場所を育てることの難しさと、その重要性を実感した瞬間でした。
居場所を育てるためには、まず意見の違いを受け入れる心構えのような柔軟性が求められます。全員が同じ意見を持つことは不可能ですが、共感しようとする姿勢は、場の成長を支える基盤です。
あるディスカッションで意見が衝突し、一人が黙り込んでしまったとき、「どう思っているのか教えてもらえる?」と問いかけました。彼が話し始めたことで、他のメンバーも彼の視点を理解し、再び議論が進んでいきました。このように、相手の意見を聞くことで居場所は深まります。
信頼関係の構築
信頼関係は、居場所を育てるうえで欠かせない要素です。小さな約束を守ること(例えば「時間を守る」「他人の意見を遮らない」など)や、他者の言葉を軽視しない姿勢がその基盤を作ります。あるワークショップで「ここにいてもいいのか」と不安を語った参加者がいました。「どんな言葉も尊重されるよ」と伝え、彼の話をゆっくりと聞いたところ、彼は安心して意見を話すようになりました。こうした小さな対話の積み重ねが信頼を育てます。
居場所を育てることは不安や戸惑いを伴うことが多いかもしれません。見つけた居場所が突然居心地の悪いものに変わったとき、どうすればいいか悩むのは当然です。そうした時こそ、「一人ではない」と感じられるような共感の言葉を胸に、対応策を少しずつ探っていくことが大切です。
具体的なアクションステップ
居場所を見つけることは第一歩ですが、それを育てるためには、柔軟性、共感、信頼関係、そして継続的な努力が必要です。これらが揃うことで、居場所は成長と安心をもたらす特別な空間となります。今ある居場所を見つめ直し、育てるために小さな一歩を踏み出してみてください。
小さな実践
「相手の話に耳を傾け、共感の言葉を添えてみる」ことから始めましょう。居場所で安心できたとき、感謝の気持ちを持つのも良い実践です。これらの小さな行動が、居場所をさらに深め、育てていく礎となります。
投稿者プロフィール

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武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
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