たった一つの動作が、人の姿勢を表す
朝、カフェに入ったときのことです。 カウンターで珈琲を頼み、席につこうとした瞬間、店員さんが柔らかな笑顔を浮かべ、清潔な布で丁寧に椅子の小さなホコリを拭いてくれました。何気ない動作でしたが、その穏やかな表情と静かな所作に、「あ、このお店は気持ちいいな」と心地よさを感じました。清潔さへの気配り以上に、「お客さんに気持ちよく過ごしてもらおう」という温かな心遣いが伝わってきました。
同じ仕事をしていても、ただ「こなす」だけの人と、「相手が快適に過ごすためにはどうすればよいか」を考えて動く人がいます。たった一つの動作にも、その人の姿勢や思いやりが表れます。そして、その気遣いの積み重ねこそが「また来たい」と思わせるお店を生むのです。

「誰でもできること」こそ差を生む
どんな仕事も最初は誰にでもできることから始まります。しかし、実は「誰でもできる仕事」ほど、その人の姿勢や考え方が明確に表れ、結果に大きな差を生むものです。
例えば、掃除というシンプルな仕事を10人に任せても、その仕上がりは人によってまったく異なります。モップの動かし方、見えにくい場所への配慮、最後の仕上げ――こうした小さな違いが、最終的に大きな違いとなって現れます。
経験が浅い時期には、「自分は誰でもできるような仕事をするためにここにいるのではない」と感じることがあるかもしれません。しかし、本当に一流と呼ばれる人は、むしろその逆の考え方をしています。
「誰にも真似できないレベル」まで高める
一流と称される人は、「誰でもできること」を「自分にしかできないこと」にまで高めていきます。一流と呼ばれているホテルの清掃を例にとってみましょう。単に部屋をきれいにするだけではなく、「どうすればお客様がより快適に過ごせるだろう?」という視点から、枕の位置やカーテンの開き具合、アメニティの並べ方、さらには客室の温度調整や照明の明るさに至るまで細やかな配慮をされています。
真の一流とは、どんなにシンプルな作業でも「誰にも真似できない完成度」まで仕上げることです。誰でもできる仕事だからこそ、積み重ねていくことで「その人にしかできない仕事」へと昇華されるのです。
「一流の動作」が信頼をつくる
こうした一流の動作が相手との「信頼関係」を生み出します。冒頭のカフェの店員さんの気遣いも、技術だけではなく「お客様への思いやり」がベースにありました。その何気ない動作が安心感を与え、「また来たい」という信頼につながったのです。
もし、あなたが信頼される人になりたいなら、自分の動作が相手にどんなメッセージを伝えているのかを意識してみましょう。たとえば、話をするときに目を合わせ、笑顔でうなずくだけでも、「あなたの話をしっかり聞いていますよ」という安心感を相手に伝えることができます。あなたが普段何気なく行っている小さな動作が、周囲の人々に大きな安心感や居心地の良さをもたらしていることに気づくでしょう。
今日から始める小さな実践
- 身近なことを一つ、意識して丁寧にやってみる
- 「どうせやるなら、自分らしく」と心を込めて取り組む
- 周囲の人の仕事を観察し、その細かな違いに気づいてみる
この小さな意識の積み重ねが、あなたの仕事を「一流の仕事」へと高めていきます。ぜひ、今日から試してみませんか?
投稿者プロフィール

-
武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
マイベストプロ
https://mbp-japan.com/kyoto/hirokobashi/
最新の投稿
怒りの感情2025年4月20日夫婦が感情的な喧嘩を避ける秘訣(後編)
怒りの感情2025年4月20日夫婦が感情的な喧嘩を避ける秘訣(前編)
人間関係2025年4月13日リスペクトとは何か?人間関係が変わる“受けとめる力”
自己成長2025年3月30日世代の違いをチャンスに!ジェネレーションギャップ対話術