人間関係のタイプと解決へのアプローチ

ジグソーパズル型とルービックキューブ型の問題

人間関係における問題は、多くの人が経験する悩みです。コミュニケーションのすれ違いや、お互いの意見が一致しないことなど、さまざまな形で現れます。こうした問題は大きく二つのタイプに分けられると言われています。それが「ジグソーパズル型」と「ルービックキューブ型」です。

ジグソーパズル型

これは、問題が複雑であっても、共通の目的が明確であり、双方が望ましい状態を共有している場合に適用されます。このタイプの問題は、問題そのものを細かく分解し、それぞれが役割を分担して解決に向けて一つずつ積み上げていくことで、最終的には解決可能です。

ジグソーパズルを解くことを考えてみてください。最初は全体像が見えませんが、コーナーから始めて少しずつ全体を明らかにしていくことで、解決へと進むことができます。人間関係における問題も同様で、各自が自分の役割を果たしながら小さな問題を解決していくことで、最終的には大きな成果を得ることができます。

職場でのプロジェクトを考えると、チームの全員が「このプロジェクトを成功させたい」という共通の目的を持っている場合、各メンバーが自分の担当部分を進めることでプロジェクト全体が前に進みます。このように、ジグソーパズルのピースを一つずつはめていくように、問題を細分化し、役割を果たすことで複雑な課題を解決できます。

ルービックキューブ型

この場合、目的は明確ですが、一度崩れてしまうと、善意の行動が予期せぬ悪影響を生じさせ、結果的に目的から遠ざかってしまうことがあります。このため、次第に問題の解決が難しくなり、最終的には自分自身を苦しめる結果となることがあります。

職場でのプロジェクト中に、一人のメンバーが予想外のアプローチを取った結果、全体のバランスが崩れてしまうことがあります。善意の行動が、予期せぬ悪影響を生じさせることもあり、それが他のメンバーの作業に悪影響を与えるため、プロジェクト全体が混乱し、問題がより複雑化してしまいます。これは、ルービックキューブのように、一つの面を揃えたと思ったら別の面が崩れてしまうような状況に似ています。

家族で新しい生活習慣を取り入れようとする場合も同様で、一人が新しい習慣を頑張って実践しようとしても、他のメンバーがうまく適応できず、全体のバランスが崩れてストレスが溜まってしまうことがあります。この場合、最初の意図は良くても、全員が同じ方向を向いていないと、一人の頑張りが逆効果になることがあります。

健全な関係を築くために

夫婦関係においても、双方の目的が明確であり望ましい状態を共有している場合、たとえ問題が発生しても「ジグソーパズル型」として細かく分解して対処すれば解決が容易です。このように、共通の目的を持ち、問題を細分化しながら解決を図る関係性は安定しています。

コーチとクライアントの関係も「ジグソーパズル型」と言えます。コーチはクライアントの理想とするゴールを明確にし、双方の目的を共有した上で、課題を細かく分解し、小さな成功を積み重ねていきます。「もっと自信を持ちたい」というクライアントの課題に対して、「まずは得意なことをリストアップする」「日々の成功を記録する」といった小さなステップを設定することで、クライアントの成長をサポートします。このように、ジグソーパズルのように一つの部分が解決すると、次々に他の部分も解決に向かい、最終的にゴールに近づくことができます。

物事を具体的な形で理解すると(問題をピースに見立ててパズルのように解決していくなど)、関係性や課題解決のアプローチがよりイメージしやすくなります。

【小さな実践】

目的(ゴール)を自分なりに細かく分解し、整理して色分けしてみましょう。赤は緊急な課題、青は長期的な目標、緑は他者との協力が必要な項目というように色分けすると、優先順位や取り組み方が明確になります。これにより、自分の役割と他者の役割がより明確になり、健全な相互依存を築くための第一歩になります。

■ 人間関係のタイプと解決へのアプローチ(前編)

投稿者プロフィール

小橋広市
小橋広市
武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。

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