なぜか同じところでつまずいてしまう。人や状況は違うはずなのに、結果だけはいつも似ている。そんな感覚を覚えたことはありませんか。努力が足りないわけでも、性格が悪いわけでもないのに、人生が同じ流れをなぞっているように感じる瞬間があります。実はそこには、私たちが気づかないうちに抱えている「人生の脚本」が関係しています。

私くらいの年齢になると、世の中の表も裏も、ある程度は見えてきます。だから若い頃のような大きな失敗を、何度も繰り返すことは少なくなります。とはいえ、ここまで順風満帆だったかというと、決してそんなことはありません。
若い頃、クレジットでの買い物が重なり、気がつけば借金が膨らんでいたこともありました。大型バイクで走り回り、事故を起こしたこともあります。今振り返れば「よくあんなことをしていたな」と思いますが、つまずきや失敗は、多かれ少なかれ誰にでもあるものだと思っています。
ただ、長く生きてきて一つ気づいたことがあります。
同じような失敗を、形を変えながら何度も繰り返してしまう人がいるということ。これは運が悪いわけでも、意志が弱いわけでもありません。多くの場合、自分自身が無意識のうちに書いている「人生の脚本」が、繰り返し再生されているだけです。
この脚本は、幼い頃の体験や、心に残った出来事、時にはトラウマを土台にしてつくられます。そして本人が気づかないまま、登場人物やシチュエーションを変えながら、人生のあちこちで再現されていきます。同じ流れでつまずく人もいれば、なぜかいつもうまくいく人がいるのも、そのためです。
私自身も振り返ってみると、相手役や環境を変えながら、同じ脚本の中を何度も生きていた時期がありました。厄介なのは、自分がどんな脚本を持っているかは、ほとんどの場合、自分では気づけないということです。だから人生には、次のような時々、脚本を揺さぶる出来事が起こります。
- 大切な人を失ったとき
- 職を失ったとき
- 生きるか死ぬかの大病をしたとき
私も五十九歳の時に大病を経験した際、人生最大のピンチと同時に、人生を見直すチャンスを与えられましたが、そこまで大きな出来事でなくても構いません。影響力のある人との出会い、大きな環境の変化、価値観が揺さぶられる体験。そうした小さな変化が、人生の流れを変えるきっかけになることもあります。
もし今、あなたが「また同じところでつまずいているな」と感じているとしたら、無理に自分を変えようとしなくていい。まずは、ほんの少し例外をつくってみてください。
例えば
いつも通る道の行きと帰りを変えてみる。
本屋で目的の棚に直行せず、一周して違う背表紙を眺めてみる。
それだけで、視点や感情は少し動き始めます。
人生は、一本の直線ではありません。Y字路のように、同じ方向に進んでいるつもりでも、ある地点で右か左を選ぶだけで、その先に広がる景色は大きく変わっていきます。人生の脚本も同じで、流れそのものを無理に変えなくても、分かれ道での選択を少し変えるだけで、違う展開が生まれることがあります。
ここで、少し立ち止まって自分自身に問いを向けてみてください。私はどんな場面で、いつも同じ感情を繰り返しているだろうか。そのとき私は、何を守ろうとしているのだろうか。そして、もし脚本を少しだけ変えるとしたら、今日どんな「例外」をつくれるだろうか。
こうして自分の流れに気づき、視点を自分に戻していくこと。その営みを、私は「再接続」と呼んでいます。過去を否定するのではなく、これまでの脚本を理解した上で、自分の人生をもう一度、自分の視点で観直していくという意味です。まずは、あなたができるところからで構いません。たった一つの小さな例外が、新しい流れの入口になるかもしれません。
投稿者プロフィール

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武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
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