人から頼まれごとをされたとき、あなたは断りにくいタイプでしょうか。
私の事務所にも営業の電話がよくかかってきます。
「社長、少しだけお話を聞いてもらえませんか?」
この「少しだけ」という言葉は便利です。時間を取らせないように見せながら、実際にはなかなか切らせてもらえません。私は意地悪なので「少しって、30秒くらいですか?」と聞き返すこともあります。営業トークには、相手に「はい」と言わせやすくする工夫が随所に散りばめられています。

断れない空気をつくる
営業マンがよく使うのは「Yesしか言わせないトーク」。
「今日はいい天気ですね」「お元気そうで安心しました」など、相手が否定しにくい言葉を重ねることで、次に続く本題も断りにくくなります。
私自身、サラリーマン時代に部下へ仕事を頼むとき、似たような工夫をしたことがありました。突発的な仕事を嫌がる部下のAさんには、まず重い仕事をお願いし、その反応を見ながら「ではこれだけでも」と軽い本命の仕事を頼む。すると「それくらいなら」と受けてもらえるのです。
人は「断った負い目」を埋め合わせるように、軽い仕事なら受けようとする。そんな心理が働きます。
頼み方一つで変わる関係性
ただし、ここで注意が必要です。相手を追い詰めるように「断れない空気」をつくることが続けば、それはハラスメントに近づきます。例えば、上司が部下に対して
「断ったら困るよな」
「君しかできないから」
と重ねると、相手との関係性によっては、断りにくくなってしまい心理的な負担が大きくなりパワハラと取られかねません。頼み事の工夫は本来、相手を不自由にするためではなく、相手が気持ちよく動けるようにするためのもの。そう考えると、人間関係はずっと健やかになります。
シーン別に考える「頼み方」
断られにくい頼み方は、職場だけでなく家庭や友人関係でも役立ちます。
- 職場の場合
「この資料、15分だけ見てもらえますか?」
時間を明確に区切ることで、相手は安心して応じやすくなります。 - 家庭の場合
「夕飯の支度、野菜を切るだけお願いできる?」
具体的で負担の少ない役割を頼むと、協力してもらいやすくなります。 - 友人関係の場合
「来週の集まり、10分早めに来てもらえると助かるんだ」
理由を添えて頼むと、相手も「自分が役立てる」と感じて行動しやすくなります。
頼み方のポイントは「曖昧さをなくす」「相手に選択肢を与える」「感謝を言葉にする」。
これらの小さな工夫で、人の気持ちは大きく変わります。
頼み事を断られない方法にはコツがありますが、大切なのは「断らせない」よりも「心よく引き受けてもらえる」頼み方を意識する。それが、人間関係を健やかにする小さな一歩になるはずです。
【小さな実践】
次の問いを、自分に投げかけてみる
- 相手が積極的に行動する気持ちになるには、どのように声をかければ良いか?
- その頼み方は、相手に安心感を与えているか?
- 相手に断れない空気を押しつけていないか?
投稿者プロフィール

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武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
マイベストプロ
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