私たちは毎日、何気なく言葉を使っています。でも、その言葉が誰かを傷つけているかもしれないと考えたことはあるでしょうか。
例えば、
「君ってほんと、優秀なんだね」
「すごいよね、あんなに仕事できるなんて」
「そんなこと、私にはとてもできないよ。尊敬する」
褒められているように聞こえるこれらの言葉。でも、何度も繰り返されるうちに、「本当にそう思っているの?」「もしかして、バカにしているのかな?」と、どこかモヤモヤした気持ちを抱いたことはありませんか。

ドラマに見た「無意識」の一言
辞書編集部に勤める女性が、写真家を目指す恋人の男性と自宅で過ごしているとき、無邪気な口調でこう言ったのです。「写真なんて仕事になるの?」この言葉で、彼がため込んでいた本音をこぼします。「その『なんて』って言葉、ずっと嫌だった」「君はいつも僕を、上から見ている感じがするんだ」。彼女は驚きました。心配して言ったつもりだった。でも、自分の無意識の口癖が、知らないうちに相手との間に見えない距離を生んでいたのです。
この「なんて」には、軽く見る・評価する・驚きを込めるニュアンスがあります。何気なく使われがちですが、聞き手によっては「下に見られている」と感じさせることもあります。
例えば、
「よくそんなこと思いつくなんて、すごいね!」
「一度もミスしなかったなんて、すごすぎ!」
一見ポジティブに見えるこれらの言葉。しかし、言われた側は「あなたがそれをしたなんて予想外だ」という含みを感じてしまうこともあります。
言葉の背景にある「関係性」を見る
人間関係のトラブルの多くは「意図」と「受け取り方」のズレから生まれます。特に、上下関係が曖昧な間柄では、ちょっとした言い回しが関係性を大きく左右します。これはハラスメント防止の観点でも大切なことです。ハラスメントとは「相手がどう感じたか」が基準。例えば、軽い冗談のつもりで言った一言でも、相手が傷ついたり不快に感じたりすれば、それは関係性を崩す原因になります。
私たちが意図していない言葉でも、相手が「傷ついた」「見下された」と感じれば、それは十分にハラスメントになります。ハラスメントは、誰もが「発信側」にも「受取側」にもなります。「相手が悪い」「相手を変えればいい」という問題ではなく、相手を変えることはできないという現実を踏まえ、自分自身がどう関わるかを考える必要があります。発信側としてどんな伝え方を心がけるか、受取側としてどう受け止め、どう対応するかという双方の立場で学び、考える時間を大切にしています。
今日からできる、小さな言葉の実践
日常の口癖を意識するだけでも、人間関係の質は大きく変わります。例えば、こんな言い換えを試してみませんか?
「すごいなんて」→「あなたの努力、本当に尊敬しているよ」
「そんなのムリだよ」→「自分にはちょっと難しいかもしれない」
「意外とできるんだね」→「あなたならできると思っていたよ」
少し立ち止まり、「自分が言われたらどう感じるだろう?」と想像すること。関係に「何かがずれてきた」と感じる時、それは小さな言葉の積み重ねかもしれません。
辞書に載る言葉はすべて意味を持つように、あなたが口にする言葉も、誰かにとっては大切な意味を持っています。心の距離を縮めるには、特別なスキルは必要ありません。「当たり前の言葉を、丁寧に選ぶこと」。それが何よりも大切なコミュニケーションの一歩です。
より深く学びたい方へ
ハラスメントは、誰もが「発信側」にも「受取側」にもなります。「相手が悪い」「相手を変えればいい」という問題ではなく、相手を変えることはできないという現実を踏まえ、自分自身がどう関わるかを考える必要があります。発信側としてどんな伝え方を心がけるか、受取側としてどう受け止め、どう対応するかという双方の立場で学び、考える時間を大切にしています。
こうした「気づき」と「実践」のバランスを体系的に学びたい方には、当協会の「ハラスメント・ハートプロテクター認定講師養成講座」をおすすめします。この講座では、日常のコミュニケーションに潜む無意識の課題を発見し、自分と相手の心を守りながら良好な関係を築くための具体的なスキルを身につけることができます。職場や家庭、あらゆる場面で活用できる実践的な内容として、多くの方にご好評いただいています。
投稿者プロフィール

-
武蔵野美術大学卒業後、東京の建築デザイン事務所に就職。その後、京都で建築士事務所を設立。人の共通心理をとりいれた店舗や狭小住宅の企画設計を生業としていたが、59歳で心筋の半分以上が壊死する重度の心筋梗塞で倒れ、事務所を廃業。紆余曲折を経て住環境ライフコンディショニングコーチとしてリスタート。近年では、企業研修において、それぞれの組織に応じた内容にカスタマイズし提供している。
マイベストプロ
https://mbp-japan.com/kyoto/hirokobashi/
最新の投稿
自己成長2026年3月1日アイデアが浮かばない本当の理由と動き出すコツ
自己成長2026年2月14日何をしても上達しない時に知っておきたい「ティッピングポイント」
自己成長2026年2月6日楽して儲かる、は本当か
自己成長2026年2月1日願いが叶う人が無意識にやっている「書く習慣」と脳の使い方


